「iPhone 17が出てしまった。手元の16、もう遅いかな……」
そう思いながらも、なかなか売り時を決断できない方は多いはずです。確かに、新モデルが出るたびに旧モデルの買取価格は下がる。それは事実です。しかし「下がった=手遅れ」は、必ずしも正しくありません。
こんにちは、「リセールバリュー通信」主席アナリストの高坂旬です。元証券アナリストとして、株式や為替の価格変動を読んできた経験から、今は中古品市場の値動きを分析しています。株式市場でも「高値から下がった株はもう終わり」という思い込みで大きな機会損失が生まれます。iPhoneの買取市場も同じです。価格が下がっているのは事実でも、「今すぐ売る」か「放置する」かで、あなたの手に残るお金は数万円単位で変わります。
この記事では、iPhone 16・15・14の価格推移データを実際の数値で検証しながら、2026年3月時点での「売るべきか、待つべきか」という問いに対して、データに基づいた明確な答えをお伝えします。
目次
iPhone 17登場で旧モデルの価格はどう動いたか
2025年9月19日、Appleは予約開始からわずか7日でiPhone 17シリーズを発売しました。iPhone 17(¥129,800〜)、iPhone 17 Air(¥159,800〜)、iPhone 17 Pro(¥179,800〜)、iPhone 17 Pro Max(¥194,800〜)という4モデル展開で、全モデルが最低256GB・120Hz対応・eSIM専用というスペックを引っ提げての登場です。
新モデルの発売は、旧モデルの買取市場に即座に影響を与えました。
発売直後の衝撃:iPhone 16の価格はどれだけ下がったか
iPhone 16 Proは2024年9月の発売時に¥159,800(税込)でしたが、iPhone 17発売後の2025年秋以降、中古美品での買取価格は¥88,000〜¥115,000程度まで下落しています。わずか1年〜1年半で、最大4割超の価値が失われた計算になります。
ゲオの買取データをもとにした集計では、2025年4月〜10月中旬のiPhone 16の下落幅は次のようになっています。
| 容量 | 2025年4月頃 | 2025年10月頃 | 下落率 |
|---|---|---|---|
| 128GB | 約87,000円 | 約75,600円 | 約13% |
| 256GB | 約99,360円 | 約88,320円 | 約11% |
| 512GB | 約113,400円 | 約101,520円 | 約10% |
iPhone 17発売後のこの半年間だけで、約1万円以上の価値が失われています。問題は「ここから先もこのペースで下がり続けるのか」という点ですが、過去のモデルのデータを見ると、答えが見えてきます。
下落にはパターンがある:過去モデルの推移から学ぶ
iPhoneの中古価格には一定のパターンが存在します。過去の複数モデルの推移データをもとにすると、大まかに以下のような傾向が確認されています。
- 発売1年目:年間で10〜15%程度の下落
- 発売2〜3年目:年間で20〜30%程度の下落(下落ペースが加速)
- 新モデル発売直後の1〜2ヶ月:数千円〜1万円以上の急落が起きやすい
iPhone 13シリーズはある1年間で約27%の下落を記録し、iPhone 12シリーズは約30%以上の下落を記録した年もあります。一方、直前世代(iPhone 16にとってのiPhone 15)は新モデル発売直後に一時的に価格が微増するケースも見られました。これは「17に乗り換える人が16を手放す前に、まだ15を使っている人たちが売りに動く」という心理的なタイミングのズレが影響します。
機種別・現在の買取相場と今後の見立て
では、2026年3月時点での各モデルの状況を整理します。
iPhone 16シリーズ:1年半で3割超が消えた
2026年3月現在のiPhone 16の主要な買取相場(バッテリー残量80%以上・Aランク相当)は以下の水準とされています。
| モデル | 128GB | 256GB | 512GB |
|---|---|---|---|
| iPhone 16 | 約75,000〜90,000円 | 約88,000〜100,000円 | 約100,000〜114,500円 |
| iPhone 16 Pro | 約90,000〜105,000円 | 約105,000〜128,000円 | 非公開・要査定 |
発売からまだ1年半ほどですが、すでに3割程度の下落が生じています。証券アナリスト的な視点で言うと「下落サイクルの初期〜中期」に位置しています。発売2年目以降は年間下落率が20〜30%に加速するパターンが多く、2026年9月にiPhone 18(仮称)が発表されれば、再び一段の下落が予想されます。
結論:今すぐ売るのが合理的。少なくとも2026年夏ごろまでには動くべきタイミングです。
iPhone 15シリーズ:「損を最小化できる最後のゾーン」か
iPhone 15シリーズは発売から2年半が経過しています。現在の残価率は45〜60%程度を維持しており、主な買取相場は次のとおりです。
| モデル | 128GB | 256GB | 512GB |
|---|---|---|---|
| iPhone 15 | 約65,000〜74,000円 | 約80,000〜95,500円 | 約90,000〜102,800円 |
| iPhone 15 Pro | 約80,000〜95,000円 | 約95,000〜108,000円 | 非公開・要査定 |
3年目に突入すると、iPhoneの価格下落は一般的に加速します。これはサポートサイクルの終わりが意識され始め、「古すぎない最新機種」との価格競争力が落ちてくるためです。実際にiPhone 13が3年目を迎えた際には、1年で27%超の下落を記録しました。
結論:まだ「損を最小化できるウィンドウ」が開いています。ただしこのウィンドウは2026年9月の新モデル発表で急速に閉まります。早めの行動が得策です。
iPhone 14シリーズ:残価率40%割れ、でも「まだ間に合う」理由
iPhone 14シリーズは2022年9月発売で、すでに発売から3年半が経過しています。残価率は40%を下回り始めており、主な買取相場は以下の水準です。
| モデル | 128GB | 256GB |
|---|---|---|
| iPhone 14 | 約48,000〜65,000円 | 約55,000〜72,000円 |
| iPhone 14 Pro | 約60,000〜80,000円 | 約75,000〜95,000円 |
「もうほとんど価値がないのでは」と思いがちですが、これは誤解です。仮に128GBのiPhone 14を今日6万円で売れたとして、半年後に50,000円になれば、その差額は10,000円。さらに1年後には40,000円台になる可能性もあります。「どうせ売るなら」という気持ちがあるなら、1日でも早く売却することが財務的に正しい選択です。
また、iPhone 14シリーズはiOS 18対応の最終世代に含まれており、まだソフトウェアサポートが続いていることから、中古市場でも一定の需要があります。この需要が薄れる前に動くことを強く推奨します。
結論:残価率は低下しているが、まだ数万円単位の価値がある。「手遅れ」ではなく、「今が最後のチャンス」と捉えるべき局面です。
Proモデルはなぜリセールバリューが高いのか
表を見れば明らかですが、無印モデルよりProモデルの方が残価率が5〜10ポイント高い傾向があります。理由は明快で、Proモデルの方が元の販売価格が高く、カメラシステムや処理能力の差が「中古でも性能が欲しい層」の需要を維持するためです。特に「前年のProが今年の無印と同等かそれ以上のスペック」というユーザー心理が、Proモデルの中古需要を底上げしています。Proをお持ちの方は、無印よりも相対的に有利な状況にあります。
なぜ新モデル発売後に旧モデル価格が急落するのか
価格データの背景にある仕組みを理解しておくと、今後の売却判断にも役立ちます。
需要の「集中と分散」が価格を動かす
新モデルが発表される前後、中古市場では次のような需要と供給のシフトが起きます。
- 新モデル発表前(7〜8月):旧モデルへの需要がやや高まる。新モデルに乗り換えたいが価格が分からないため、旧モデルで様子を見る層が中古市場の需要を支える。
- 新モデル発表直後(9月):旧モデルの売却希望者が急増し、供給過多になる。需要に対して供給が大きく上回るため、買取業者は価格を引き下げる。
- 発売後数ヶ月:新モデルへの移行が一段落し、旧モデルの買取価格は緩やかな下落ペースに戻る。
株式市場で言えば「決算発表直後の急変動」に近い動きです。情報が市場に織り込まれる過程で価格が乱高下し、その後は新たな均衡価格へ向かって安定します。ただし、株と違うのは「下がった後に戻ることがほとんどない」という点。iPhoneは基本的に一方向の下落トレンドを歩みます。
キャリア下取りプログラムが相場を揺さぶる
新モデル発売時にキャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)が展開する下取りプログラムも、中古市場の相場に影響を与えます。キャリアが高い下取り価格を提示すると、一般の買取市場に流れる商品が減り、相場が下支えされることもあります。逆に下取り条件が厳しくなると、一般の買取市場に流れる商品が増え、相場が下押しされます。
こうした外部要因も絡むため、「いつ売るのが最適か」を一概には言えません。だからこそ、複数業者への相見積もりが重要になります。特に、赤ロムや分割払い残があるiPhoneは一般の買取業者に断られやすいですが、iPhoneの高価買取に特化したMobileMartのように、こうした条件付きのiPhoneでも専門対応する業者も存在します。通常なら大幅減額や買取拒否になるケースでも、専門業者なら市場実態に即した価格を提示してもらえる可能性があります。
「今すぐ売る」vs「もう少し待つ」どちらが正解か
ここが本記事の核心です。結論を先に言います。
iPhone 16・15・14のいずれを持っている場合でも、「今すぐ売る」が原則的に正しい選択です。
理由を3つに整理します。
理由1:iPhoneの買取価格に「V字回復」はほとんどない
株や不動産には「安値から反転する」可能性がありますが、iPhoneの中古価格はほぼ一方向に下落します。新機能を持つ新モデルが毎年発売される以上、旧モデルへの需要が戻ることは考えにくいのです。「もう少し待てば上がるかも」という期待は、データ上、ほぼ裏切られます。
理由2:機会費用を忘れてはいけない
今手元にある旧iPhoneを1年間放置することには、単に価格が下がるリスクだけでなく「その間にもらえたはずのお金を使えなかった」という機会費用が伴います。今日6万円で売れるiPhoneを半年後に5万円で売るなら、差額の1万円は事実上の損失です。「どうせ売るなら早い方が得」というシンプルな原則が、iPhoneの中古市場では特に強く働きます。
理由3:バッテリーは日々劣化している
使っていなくても、リチウムイオンバッテリーは自然劣化します。「充電していないから大丈夫」は誤りで、保管しているだけでも1年で数%の容量低下が起きます。買取市場では「バッテリー残量80%以上」が高額査定の一般的な基準とされており、この水準を下回ると減額対象になります。長く眠らせるほど、査定条件が悪化するリスクがあります。
ただし「今すぐより高い査定を取る努力」は別の話です。複数業者に相見積もりを取り、自分の機種が最も高く評価される業者に持ち込むことで、同じ機種でも数千円〜数万円の差を生み出せます。
少しでも高く売るための実践チェックリスト
最後に、査定額を最大化するための具体的な準備事項をまとめます。今日から実行できることばかりです。
- 付属品を揃える(Lightning/USB-Cケーブル、アダプター、Apple純正イヤホン、元箱)
- 画面・背面・フレームの傷・汚れを確認し、やわらかい布で拭く
- バッテリー残量を「設定 → バッテリー → バッテリーの状態と充電」で確認し、80%以上であることをチェック
- iCloudのバックアップを取ってから、「設定 → 一般 → 転送またはiPhoneをリセット」でデータを消去
- Apple IDのサインアウトを済ませておく(「アクティベーションロック」が外れていない状態は大幅減額の原因)
- Face ID・Touch IDの設定を削除する
- SIMカードを取り出す
また、買取業者を選ぶ際は、前回の記事でも解説した通り「得意ジャンルのある専門業者」を選ぶことが高値査定への近道です。iPhoneはスマートフォン専門の買取業者や宅配買取業者が強い傾向にあります。複数業者に相見積もりを出し、最も高い価格を提示した業者で売却することが基本戦略です。
まとめ
iPhone 17が発売された今、旧モデルを売るのは「手遅れ」かどうかについて、データで検証してきました。
- iPhone 17発売後、旧モデルの買取価格は急落し、その後も緩やかに下落を続けている
- iPhone 16は1年半で3割超、iPhone 15は残価率45〜60%、iPhone 14は残価率40%割れと、世代が古いほど残価率は低い
- iPhoneの価格下落は一方向で、「待てばV字回復」はほぼ起きない
- 発売2〜3年目以降は年間の下落ペースが20〜30%に加速する傾向がある
- バッテリーの自然劣化も査定額に影響するため、長期放置はリスクになる
どのモデルを持っていても、結論は同じです。「今すぐ売る」が原則的に正しく、少なくとも2026年夏(次モデル情報が出回る時期)までには動くことを強くお勧めします。
市場は、待つ人ではなく、動く人に味方します。眠っているiPhoneを今日、査定に出してみましょう。






