「リセールバリュー通信」主席アナリストの高坂です。
あなたが昨日買ったそのスマートフォン、あるいは押し入れの奥で眠っている古いカメラ。それらの「本当の価値」を考えたことはありますか?
モノの価値は、買った瞬間に目減りするだけではありません。経済の潮目、新しい技術の登場、そして人々の熱狂によって、その価値は日々、刻々と変動しています。元証券アナリストとして金融市場を分析してきた私から見れば、中古市場もまた、需給バランスを映し出す巨大なマーケットに他なりません。
このメディアでは、金融市場を分析するのと同じ手法で、あらゆるモノの「リセールバリュー(再販価値)」を解き明かしていきます。今回は2026年1月現在の市場データに基づき、買取価格が予想外に高騰している商品をランキング形式でご紹介します。
あなたの身の回りにある「眠れる資産」を掘り起こす、絶好の機会かもしれません。市場を読み解く興奮と、賢く立ち回る実益を、あなたと共に。
なぜ今、”意外なモノ”の価値が高騰しているのか?
ランキング発表の前に、現在の市場を形成している3つのマクロトレンドについて解説します。これらの背景を理解することで、なぜ特定の商品の価値が上がっているのか、その本質が見えてくるはずです。
1.世界的なインフレと資産防衛意識の高まり
世界的な金融緩和の終焉と地政学リスクの高まりは、法定通貨の価値を相対的に低下させています。これにより、人々は現金以外の「実物資産」に価値を見出すようになりました。かつては富裕層の専売特許であった金や腕時計への投資が一般化し、その波がヴィンテージ品やコレクターズアイテムといった、より広範なモノへと及んでいるのです。
2.”Y2K”や”平成レトロ”ブームによる価値の再発見
2000年前後(Y2K)や平成初期のカルチャーが、Z世代を中心に新たなトレンドとして消費されています。当時を知らない世代にとっては、フィルムカメラやカセットテープ、一昔前のデジタルガジェットが新鮮なファッションアイテムとして映ります。このノスタルジアと新しさが融合した需要が、供給の限られた古い製品の価格を押し上げているのです。
3. SNSによる局所的な需要爆発
特定のインフルエンサーによる紹介や、SNSでのバイラルな拡散が、一夜にして特定商品の需要を爆発させることがあります。生産が終了している商品の場合、この突発的な需要増は需給バランスを著しく崩し、中古市場での価格高騰に直結します。これは、かつての株式市場における仕手株を彷彿とさせる現象と言えるでしょう。
これらの複合的な要因が、これからご紹介するランキングの背景にあることを念頭に置いて読み進めてください。
【2026年版】買取価格高騰中の意外な商品ランキングTOP10
それでは、最新の市場データと将来予測に基づいたランキングを発表します。ご自宅に眠っていないか、ぜひ確認してみてください。
第10位:昭和・平成期の企業ノベルティグッズ
高騰の理由:
企業の販促品、いわゆるノベルティグッズが、コレクターズアイテムとして価値を高めています。特に、ソニーやホンダといった世界的な日本企業の黄金期に作られた灰皿、グラス、文房具などは、その企業の世界観や当時のデザイン思想を反映しており、国内外のファンから熱い視線が注がれています。企業の歴史を物語る「インダストリアル・アート」としての側面が評価され始めた結果と言えるでしょう。
| アイテム例 | 推定買取価格帯 |
|---|---|
| 自動車メーカーの記念キーホルダー | ¥3,000 ~ ¥15,000 |
| 音響メーカーのロゴ入りグラス | ¥5,000 ~ ¥20,000 |
| 航空会社のヴィンテージバッグ | ¥10,000 ~ ¥50,000 |
第9位:アナログレコード
高騰の理由:
音楽ストリーミングが主流の現代において、アナログレコードの物理的な所有感や独特の音質が再評価されています。特に、シティポップと呼ばれる1970~80年代の日本の楽曲は海外での人気が非常に高く、山下達郎や竹内まりやといったアーティストのオリジナル盤は、数万円単位で取引されることも珍しくありません。 デジタルでは得られない体験価値への対価が、価格に反映されています。
第8位:特定のレゴセット(廃盤品)
高騰の理由:
レゴは単なる玩具ではなく、世代を超えて愛されるコレクターズアイテムです。特に生産が終了した「廃盤」の大型セットや、スター・ウォーズ、ハリー・ポッターといった人気シリーズとのコラボ商品は、未開封品であれば定価の数倍で取引されることもあります。レゴ社が再生産をほとんど行わないため、市場に出回る数が限られており、その希少性が価格を押し上げています。
第7位:高性能な電動工具
高騰の理由:
DIYブームの定着と、専門職人(いわゆる”プロ”)の中古需要が下支えとなり、マキタやHiKOKIといった国内メーカーの高性能な電動工具が安定したリセールバリューを維持しています。特に、バッテリーの汎用性が高いモデルは中古市場でも人気が落ちにくく、新品価格の高騰も相まって、状態の良い中古品の需要が非常に高まっています。これは実用性が価値を担保する、堅実な「資産」と言えるでしょう。
第6位:フィルムカメラ
高騰の理由:
デジタルカメラの高性能化が進む一方で、フィルムならではの質感や偶発性を楽しむ若者が増えています。 このブームを受け、かつては二束三文で取引されていたコンパクトフィルムカメラや一眼レフの価格が高騰。特に、京セラの「CONTAX T2」やリコーの「GR1」シリーズといった高級コンパクトフィルムカメラは、数十万円で取引されることもあります。デジタルに慣れた世代にとっての「不便益」が、新たな価値を生み出している典型例です。
第5位:90年代のヴィンテージG-SHOCK
高騰の理由:
1990年代に社会現象を巻き起こしたG-SHOCKの初期モデルや限定コラボモデルが、ヴィンテージアイテムとして再び脚光を浴びています。特に「イルカクジラ会議」や「ラバーズコレクション」といった限定モデルは、当時の熱狂を知る40代以上の世代だけでなく、Y2Kファッションを好む若者からも支持されています。生産終了から時間が経過し、良好なコンディションの個体が減少していることも、価格高騰に拍車をかけています。
第4位:レトロゲーム機・ソフト
高騰の理由:
スーパーファミコンやプレイステーションといった、平成初期のゲーム機およびそのソフトが、骨董品レベルの価値を持つようになっています。 国内のレトロゲームブームに加え、円安を背景とした海外コレクターによる買い占めが価格高騰の主な要因です。 特に、生産本数が少なかったソフトや、箱・説明書付きの美品は驚くような価格で取引されています。 押し入れに眠る段ボール箱が、思わぬ宝の山になるかもしれません。
第3位:限定・コラボレーションスニーカー
高騰の理由:
スニーカーはもはや「履くモノ」から「投資対象」へと変化しています。特にナイキの「エアジョーダン」シリーズや、有名ブランドとのコラボレーションモデルは、発売直後からプレ値(定価を超える価格)で取引されるのが常態化しています。 抽選販売による入手困難さが希少価値を生み、世界中のスニーカーヘッズと投資家による巨大な二次流通市場を形成しています。
| モデル例 | 特徴 |
|---|---|
| NIKE Air Jordan 1 High ’85 | オリジナルモデルを忠実に再現した復刻版 |
| Travis Scott x NIKE コラボ | 人気アーティストとのコラボによる希少モデル |
| Dior x Air Jordan 1 | 高級ブランドとのコラボによる象徴的な一足 |
第2位:旧世代のApple製品
高騰の理由:
最新モデルが常に注目されるApple製品ですが、実は一部の「旧世代」モデルがコレクターズアイテムとして価値を高めています。 例えば、初代iPhoneや、スティーブ・ジョブズが手掛けた最終期のiPod classic(未開封品)などは、その歴史的価値から高値で取引されています。最新OSのサポートが終了し、実用性が失われたとしても、「Appleの歴史を所有する」という価値観が市場価格を形成しているのです。
第1位:ジャパニーズウイスキー(終売品・年代物)
高騰の理由:
サントリーの「山崎」「響」や、ニッカの「竹鶴」といったジャパニーズウイスキーは、世界的な評価の高まりと深刻な原酒不足により、価格高騰が続いています。 特に、すでに終売となった年代物(例:「響17年」「竹鶴17年」)は、市場から姿を消しつつあり、その希少価値は計り知れません。数年前に数千円で購入したボトルが、今や数十万円の価値を持つことも。これは、熟成という「時間」が生み出す、最も分かりやすい価値の増幅と言えるでしょう。
高価買取を実現するための3つの原則
さて、もしあなたの自宅にこれらのお宝が眠っていた場合、その価値を最大化するためにはどうすればよいのでしょうか。金融資産の売却と同じく、モノを売る際にも戦略が必要です。以下の3つの原則を覚えておいてください。
- 付属品の有無が価値を左右する
- 完備が理想: 箱、説明書、保証書、タグなど、購入時に付属していたものは全て揃っているのが理想です。特にコレクターズアイテムは、付属品の有無で査定額が大きく変わります。
- 価値の証明: これらの付属品は、その商品が「本物」であり、大切に扱われてきたことの証明になります。
- コンディションは最良に保つ
- 清掃とメンテナンス: 査定に出す前には、可能な範囲で綺麗に清掃しましょう。簡単な汚れを落とすだけでも、査定士に与える印象は大きく異なります。
- 保管環境: 日光や湿気を避けるなど、普段からの保管方法がコンディションを維持し、将来的な価値を守ります。
- 売却タイミングを見極める
- 需要のピーク: テレビや雑誌で特集された直後など、世間の注目が集まっている時期は需要が高まり、買取価格も上昇する傾向にあります。
- 相見積もり: 売却を急ぐ必要がなければ、複数の買取業者に査定を依頼し、最も高い価格を提示した業者に売却するのが賢明です。
まとめ
今回のランキングでご紹介した商品は、ほんの一例に過ぎません。市場は常に動いており、昨日まで価値のなかったモノが、明日には思わぬ資産に変わる可能性を秘めています。
重要なのは、身の回りのモノを「消費物」としてだけでなく、「資産」という視点で捉え直してみることです。リセールバリューという概念を身につけることで、あなたの消費行動はより戦略的で、インテリジェントなものへと変わっていくでしょう。
「リセールバリュー通信」では、今後も客観的なデータと市場分析に基づき、あなたの資産価値を最大化するための情報を提供していきます。次のレポートで、またお会いしましょう。
